抄録
肝門部胆管癌の外科切除においては根治性が重要な予後規定因子であるため,いかにして安全度の高い術式において根治度を高められるかが大きなポイントである.そのためには正確な癌の進展度診断,正確な肝予備能判定,安全を高めるための門脈塞栓術の応用,黄疸肝の減黄管理,また手術に際しては血管合併切除再建手技の確立,肝実質温存切除術の適応,適切な術後管理といった点についてすべて適切に行う事で良好な外科切除成績を上げていく事が出来る.また現時点でどのような肝門部胆管癌が外科切除可能なものでその際の術式選択の考え方,および切除適応外となるものはどのような症例なのかについて具体的な基準を呈示する.外科切除が根治性を得られうる唯一の治療手段である事より,肝門部胆管癌症例を診る臨床医は安易に切除不能と判断せずに外科切除の可能性を徹底的に追求した上で判断する責務があるであろう.本稿では肝門部胆管癌外科治療のポイントについて述べてみたい.