2007 年 21 巻 5 号 p. 617-622
ERCP後膵炎の危険因子について従来欧米で報告されている因子にERCP施行時間,深部挿管までの時間を加えて検討した.
対象は2003年8月から2006年5月までにERCPを施行したうち,いわゆる新鮮乳頭の629例,平均年齢65.5歳,男女比1.4:1.0,全体での発症率は4.1%であった.これを,膵炎を発症した群(発症群)と発症しなかった群(非発症群)に分けて検討した.
年齢,男女比,総胆管径,主膵管径には差がなかった.施行時間は47.5分,29.4分と発症群で有意に長かった.深部挿管するまでの時間は17.4分,8.7分と発症群で長かったが有意差はなかった.膵管造影率は85.2%,36.5%と発症群で有意に高かった.
施行時間と膵管造影の有無がERCP後膵炎の危険因子として示された.