胆道
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内視鏡的乳頭バルーン拡張術による総胆管結石治療後5年以上経過した症例の長期予後
三上 繁鈴木 功一清水 史郎秋本 政秀
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2007 年 21 巻 5 号 p. 637-641

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抄録

内視鏡的乳頭バルーン拡張術による総胆管結石治療後5年以上経過した症例の長期予後について検討した.対象101例の観察期間は87.3±26.5カ月(平均7.3年)で,早期の合併症としては膵炎が2例(2.0%)認められたのみであった.後期の合併症としては,胆管結石の再発を5例(5.0%)に認め,再発までの期間は3~28カ月であった.また,5例中4例が胆嚢からの落下結石と考えられた.胆嚢炎の発症は認められなかった.画像検査において胆管気腫像が認められた症例もなかった.死亡例は4例で,死因は膵癌,肝内胆管癌,肝不全,心筋梗塞で,死亡までの期間は25~34カ月であった.有石胆嚢を温存した場合は胆嚢結石の再落下が問題となるため,可能ならEPBD後に胆嚢摘出術を施行すべきであるが,一方EPBD後は胆嚢炎の発症頻度が少なく,胆嚢摘出術のハイリスク症例における総胆管結石治療の第一選択と考えられた.

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