胆道
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肝内胆管の限局性拡張を契機に切除された微小肝内胆管癌の1例
國枝 良行千々岩 一男近藤 千博内山 周一郎甲斐 真弘大内田 次郎旭吉 雅秀永野 元章片岡 寛章
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2007 年 21 巻 5 号 p. 652-658

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抄録

肝内胆管の限局性拡張を契機に根治切除した微小肝内胆管癌の1 例を経験したので報告する.症例は84歳女性.主訴なし.検診での腹部超音波検査で外側区域肝内胆管の限局性拡張を認め精査目的で当科を紹介された.血液生化学検査では異常なし.腹部CTでは肝内胆管B2の拡張を認め,その起始部は狭窄していたが腫瘤影は認めなかった.ERCPでB2根部狭窄部胆管の擦過細胞診を施行したがClass IIであった.腹部血管造影では肝動脈A2起始部に軽度のencasementを,CTAPでP2起始部の壁不整を認めた.術前検査では明らかな癌の存在は認めなかったが,肝内胆管癌の可能性が高いと診断し肝左葉切除術を施行した.病理組織診断では肝内胆管癌であり癌浸潤は胆管周囲グリソン鞘内に留まっていた.画像検査で限局した肝内胆管拡張を認める場合には肝内胆管癌の存在を念頭に置いて精査する必要性が示唆された.

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