胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
肝門部胆管癌の総括
二村 雄次
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 21 巻 5 号 p. 702-708

詳細
抄録

肝門部胆管を含めた肝の区域・亜区域の局所解剖の研究は1950年代に欧米で始まったが,その臨床的外科的局所解剖の研究の発展は日本の臨床家に負うところが大きい.肝門部胆管癌の診断体系はMDCTの登場により大きく変貌した.ステージングおよび手術法の立案はMDCTだけでも十分可能であるといっても過言ではない. 肝外胆管切除, 尾状葉切除を伴う肝切除が標準的な手術法になりつつあるが,黄疸肝の手術前治療のうちでは内視鏡的ドレナージか経皮経肝的ドレナージかの選択,減黄後の肝切除の時期,門脈塞栓術後の手術時期など,今後も明らかにしなければならない問題も多い.手術適応に関しても施設毎に基準が異なっていることも事実である.外科的切除が唯一の根治療法であることは周知の事実であるので,容易に非手術療法を選択するのではなく,あくまで切除の可能性を追求した後に切除不能の要因を明らかにし, セカンドオピニオンも十分に聞いた上で非切除療法の適応を再検討する必要があろう.外科的切除に伴う補助療法の有効性については未だ十分な臨床研究がされていないので,今後エビデンスレベルの高い研究成果を創出することが期待される.

著者関連情報
© 日本胆道学会
前の記事 次の記事
feedback
Top