2007 年 21 巻 5 号 p. 692-701
肝門部胆管癌に対する非手術的治療として, 胆道ドレナージ術と抗腫瘍療法について概説した.内瘻術では,メタリックステント(MS)が開存率に優れ,さらにチューブステント(TS)では内瘻化が困難であった肝門部・肝内胆管閉塞にも応用され,患者のQOLの向上に大きく貢献してきた.MSの開存期間は抗腫瘍療法を施行することで延長されるため,内腔の局所制御を目的に放射線治療をはじめとした抗腫瘍療法が多くの施設で併用されるようになった.しかし,抗腫瘍療法により長期生存例が経験されるようになると,今度はMSによる後期合併症が問題となってきており,その適応に変化が見られるようになった.さらに併用療法の内容は化学療法の発達などにより変遷してきている.今後,抗腫瘍療法,ドレナージ法個々の確立と同時に,抗腫瘍療法に応じた最適な胆道ステンティングの組み合わせを検討する必要がある.