胆道
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良性胆道疾患における胆汁中アミラーゼ高値例の臨床病理学的検討
山崎 眞一松村 敏信古味 信彦
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1990 年 4 巻 1 号 p. 31-36

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抄録
膵管胆道合流異常を伴わない良性胆道疾患で胆汁中アミラーゼ値が測定可能であった156例について臨床病理学的に検討した.胆汁中アミラーゼ値が1,000IU/l以上の高値を示した症例は32例(20.5%)であった.それら32例の血清アミラーゼ値はいずれも正常範囲内であった.性別では男性にやや頻度が高く,70歳以上において頻度が高かった.胆石の存在部位による差は認められなかった.アミラーゼ高値群では細菌感染例が多く,また術中胆道造影時に膵管が造影される症例の頻度が高く,形態的に合流異常が認められないにもかかわらず胆汁と膵液の相互移行が存在し,胆道内へ逆流した膵液が胆汁中アミラーゼ高値の原因であると考えられた.組織学的にアミラーゼ高値群では化生上皮が認められた症例の頻度が高く,逆流膵液が胆道疾患の病態になんらかの影響を及ぼす可能性が示唆された.
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© 日本胆道学会
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