胆道
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異所性胆嚢,総胆管結石を伴った肝右葉形成不全症の1治験例
佐藤 裕北原 賢二鮫島 隆一郎宮崎 耕治久次 武晴
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1991 年 5 巻 2 号 p. 181-187

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抄録
異所性胆嚢,および総胆管結石を伴った肝右葉形成不全症という非常に稀な症例を経験したので,本症例における胆管結石の成因についての推論とともに報告する.症例は68歳男性で,数年来胆嚢の位置異常,肝右葉形成不全,胆石症の診断にて経過を見ていた患者で,今回根治手術を希望して入院した.ERCPにて痕跡的に残存したと思われる右肝管の基部に結石を思わせる陰影欠損を認めた.PTCD後に経皮経肝的胆道鏡(PTCS)を施行し,痕跡的に残存した右肝管に鋳型状に存在したビ系石を截石し得た.血管造影にて右肝動脈系と右門脈幹の欠損が確認された.開腹手術にても,胆嚢は代償性に肥大した肝左葉内側区の後上方に位置しており,その右側に肝組織を認めず,肝右葉形成不全症と確診した.術前にPTCSにて截石がなされているため,手術は十二指腸憩室切除,胆摘,総胆管切開,術中胆道鏡,総胆管ドレナージを施行した、術後22日目に全治退院となった.
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© 日本胆道学会
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