抄録
超音波内視鏡(EUS)の胆石症に対する診断能を検討した.1)摘出胆石を3.5,7.5,12MHzで走査し,3種のファントム像を分析した結果,コレステロール胆石は周波数を上げると胆石の内部エコーが消失し,薄く強い表面エコーのみとなった.ビリルビン石も音響陰影が出現し,厚く強い表面エコーのみとなった.黒色石は胆石全体が高エコーを示し,音響陰影が出現した.2)胆嚢結石20症例,総胆管結石症10例に対しEUSを施行し,他の検査で描出できなかった2例の胆嚢頸部結石が診断し得た.総胆管結石は全例に胆石の描出が可能であった.質的診断も87%に可能であり,EUSは胆石症,とくに総胆管結石症の存在および質的診断,さらに治療方針の決定に有用であった.