急性胆嚢炎の手術時期には,緊急,早期,待期手術があるが,欧米では腹腔鏡下胆嚢摘出術も適応されつつある.したがって,急性胆嚢炎の治療法の選択には,入院時に病態ならびに重症度を的確に把握することが重要である.本研究では急性胆嚢炎112例を超音波所見より3群に分類し,既報の臨床的重症度,急性疾患の重症度判定に用いられるAPACHE II scoreと対比するとともに,腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応についても検討した.超音波分類は,1度;走査時圧痛,胆嚢腫大,壁肥厚,2度;sonolucent layer,胆嚢内debris,肝床部・胆嚢壁内型胆嚢周囲膿瘍,3度;腹腔型胆嚢周囲膿瘍,fluid collection,胆管所見,肝膿瘍所見である.これらの超音波分類は臨床的重症度とよく相関した.また,APACHE II scoreでも各群間に差を認め,1度が軽症,2度が中等症,3度が重症に相当した.手術所見は,1度は胆嚢の炎症性変化軽度,2度は半数近くが炎症性変化高度,3度は広範囲の炎症性変化を認めた.1度,2度には保存的治療後に腹腔鏡下胆摘術を含めた待期手術が,3度には緊急・早期手術が治療法の基準になると考えられた.
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