胆道
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閉塞性黄疸で発症した粘液産生胆嚢癌の1例
永井 裕司山下 隆史西野 裕二高塚 聡西原 承浩加藤 保之鄭 容錫曽和 融生
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1993 年 7 巻 1 号 p. 80-87

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抄録

腫瘍が産生した多量の粘液が原因となり, 閉塞性黄疸を呈するのは粘液産生膵癌, 胆道癌が多いが, われわれは粘液産生胆嚢癌により閉塞性黄疸をきたした1例を経験した. 症例は77歳, 女性. 昭和55年に胆嚢結石を指摘されたが放置していた. 平成4年2月黄疸を指摘され, 入院した. 黄疸著朗で, T-Bilirubin値19.Omg/dlと高値を示し, USで肝内胆管, 総胆管の拡張を認め, PTCDを施行した. 排液中に半透明なゼリー状粘液が多量に流出した. また, 胆嚢結石および総胆管結石を認めた. CT, EUSにて胆嚢壁の腫瘤状肥厚が認められ, 膵には異常所見はみられなかった. 粘液産生胆嚢癌を疑い, 胆嚢摘出, 総胆管部分切除ならびにリンパ節郭清を施行した. 胆嚢頸部に乳頭状に隆起した腫瘍が認められ, 組織学的には粘液癌で, 深達度はpmであった. 粘液産生胆嚢癌は胆嚢癌の中でも比較的稀で, しかも閉塞性黄疸を呈した報告例は少なく, 比較的稀な症例と思われたので報告した.

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© 日本胆道学会
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