胆道
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多変量解析を用いた胆嚢癌切除例の病理学的予後規定因子に関する研究
田中 譲
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1993 年 7 巻 2 号 p. 117-127

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抄録
胆嚢癌の予後規定因子を明確にするため, 本研究を行った. 対象は相対非治癒切除以上の治癒度が得られ, 病理学的検索が可能であった157例である. 壁深達度, 肝内直接浸潤, リンパ節転移, 組織型, リンパ管浸潤, 静脈浸潤, 神経 (周囲) 浸潤, 肝十二指腸間膜浸潤といった因子を選定し, 各因子内のカテゴリーにおいて累積生存率曲線を求めたところ, それぞれのカテゴリー問には有意差を認めた. しかし, この統計方法では, 有意差は出るものの, それぞれの因子の予後に対する重みを比較検討することは出来ない. そこで多変量解析を行った. 壁深達度(X2=9.4762), 神経 (周囲) 浸潤(X2=5.2697)の2因子が, 予後規定因子であることが示唆された.m, pm癌はほとんど生存し, 逆にse, si癌は癌死してしまうことから, 対象をss胆嚢癌にしぼって同様の解析を行った.リンパ節転移(X2=4.0627), 神経(周囲)浸潤(X2=4.1447)の2因子が, 予後に影響を及ぼす因子であることが示唆された.
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© 日本胆道学会
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