胆道
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術中胆管損傷の治療法の検討
木下 壽文小須賀 健一大神 延喜中尾 哲二宗 宏伸玉栄 剛柴田 順二吉田 正島田 昇二郎奥田 康司中山 和道
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1994 年 8 巻 1 号 p. 29-34

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抄録

1965年1月から1993年8月までに経験した術中胆管損傷は32例で, その内19例が初回手術他施設例であった. 当科例は13例で, 同時期の胆石症手術症例 2,163例中の0.6%であった. 胆管損傷形式では切断が最も多く, 損傷部位としては総肝管が最も多かった. 術中に気付き修復した症例は9例で, 8例が胆管端端吻合術で, 1例が胆管端側吻合術であった. 術中に胆管損傷に気付かなかった症例は 23例で, 症状としては黄疸が最も多く, 半数が2日以内に症状が出現している. 再建術式としては総肝管・肝門部肝管空腸吻合術が 15例と最も多く, 胆管端端吻合術は2例であった. 術中胆管損傷の修復方法は, できるだけ生理的な胆管端端吻合術を行うことを第1選択とすべきである. また, 術中に気付かなかった場合でも, 可能であれば胆管端端吻合術を行うが, 炎症所見が強く, 損傷が広範囲で吻合に緊張がかかったり, 縫合不全や再狭窄をきたす可能性が高い場合には, 適切な胆管消化管吻合術を行うべきである.

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