胆道
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8 巻, 1 号
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  • 主として腹腔鏡下胆摘術の術前検査として
    野村 俊之, 多田 秀樹, 西原 徳文, 安達 岳似, 福本 信介, 松本 太一三, 安住 治彦, 塩崎 道明, 戸田 勝典, 霧野 良一, ...
    1994 年 8 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下での胆摘術 (Laparoscopic cholecystectomy: 以下LC) が1988年欧米で開発され, 我が国でも急速に広まりつつある.そこで, LC施行時に問題になると考えられる胆嚢管の分岐異常について検討してみた. 対象は当科で過去4年間にERCPを施行した 2,251例であり, 2.8%に胆嚢管分岐異常を経験した. このうち胆嚢管低位分岐型はLCに際しては特に問題なく, 胆嚢管の disorientation や胆管損傷の危険性がある胆嚢管分岐異常は, 1)右肝管からの分岐型, 2)右副肝管からの分岐型, 3)高位分岐型, 4)特殊型と考えられた. これら4型の胆嚢結石保有率は56%と高く, これら4型の出現頻度は ERCP 施行全症例に対しては 1.6% であったが, 胆嚢結石症例から見た出現頻度は 2.9%であった. また, DICでは胆嚢管の分岐異常を診断することは困難であり, ERCPをLC施行前に積極的に行う必要がある.
  • グルコース食投与ハムスターを用いて
    相原 直樹, 田妻 進, 大屋 敏秀, 初鹿 寿美恵, 山下 喜史, 堀川 和彦, 越智 秀典, 寺面 和史, 平野 巨通, 三浦 弘之, ...
    1994 年 8 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    大柴胡湯によるコレステロール胆石形成に対する影響を, コレステロール胆石形成モデルを用いて検討した. 雄性ゴールデンハムスターを, 普通食投与群 (N群: n=12), グルコース食投与群 (L群:n=14), 1%大柴胡湯添加グルコース食投与群 (L+D群:n=12) の3群にわけ4週間飼育した後, 胆石出現率, 胆汁脂質, 血清脂質および肝組織中の脂質の差を検討した. コレステロール胆石の出現率は, L群において71%と高率であったが, NおよびL+D群においては胆石形成を認めなかった. 胆汁中の胆石形成指数は, N群0.44±0.28, L群0.85±0.19, L+D群0.43±0.24 と大柴胡湯投与により有意に低下していた. 一方, 血清脂質は, コレステロール, 中性脂肪ともにL群においてN群, L+D群に比し有意に上昇したが, N群, L+D群間に有意の差は認めなかった. 肝組織中の脂質はN群に比べL+D群において遊離コンステロールの低下, コレステロールエステルの上昇, L群においては逆の変化を認めた. 以上より, 大柴胡湯は, 腸管でのコレスデロール吸収抑制, 肝でのコレステロール合成抑制および胆汁酸への異化亢進により, 胆汁中コレステロール飽和度を低下させ, 胆石形成に抑制的に作用することが示唆された.
  • 小西 豊, 梶原 建熈
    1994 年 8 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    切除不能肝門部胆管癌に対して, われわれが行った胆管内挿管内瘻術の適応, 手技そして治療成績について報告した. 本法を6例に施行, 透視下に行えばその施行は容易であった. 全例, 術後 1カ月以内に顕性黄疸なく退院した. カテーテルの閉塞は6例中1例に認められたが, カテーテルの逸脱, 逆行性感染は認めなかった.
    6例中3例は1年以上生存し, その生存期間は15カ月, 28カ月, 45カ月であった. また, これら3例の無黄疸期間は12カ月, 21カ月, 41カ月であった. 長期の減黄効果, カテーテルの耐久性も示唆された.
    また, 体動の制限は全くなく, QOLの面も含めてすぐれた内瘻術と考えられた.
  • 中村 弘樹, 木下 博明, 広橋 一裕, 久保 正二, 田中 宏, 塚本 忠司, 藤尾 長久
    1994 年 8 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    最近3年間の肝胆道手術症例213例の肝門部胆管合流形式を検討したところ, 総肝管より肝内に向かって第1次および第2次分枝の合流形式は, 2枝合流型149例(70%), 3枝合流型30例(14%), 後枝独立合流型11例(5%) および左肝管に後枝が合流する型23例(11%)であった. 2枝合流型のうち, 右肝管に第3 次分枝の右前枝と右後枝が別個に合流する破格が2例(1%), 第4次分枝以降の肝管枝が肝門部に合流する破格が2例(1%) みられた. これらの肝管枝は, 後枝独立合流型の右後枝や左肝管に後枝が合流する型の右前枝とともに, 副肝管とされることがある. しかし, 帰納的に類推すると, 諸家が従来副肝管と呼称した胆管枝が実は, 肝管の第 2, 3, ……n次分枝 (ある肝領域の唯一の胆汁排出枝) の破格と考えられた. 「副」は付随的な意味ゆえ, 機能的に同等な肝管枝が形態上「副肝管」とされるのは不適当で, この場合「異所性肝管」と呼称すべきである.
  • 木下 壽文, 小須賀 健一, 大神 延喜, 中尾 哲二, 宗 宏伸, 玉栄 剛, 柴田 順二, 吉田 正, 島田 昇二郎, 奥田 康司, 中 ...
    1994 年 8 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    1965年1月から1993年8月までに経験した術中胆管損傷は32例で, その内19例が初回手術他施設例であった. 当科例は13例で, 同時期の胆石症手術症例 2,163例中の0.6%であった. 胆管損傷形式では切断が最も多く, 損傷部位としては総肝管が最も多かった. 術中に気付き修復した症例は9例で, 8例が胆管端端吻合術で, 1例が胆管端側吻合術であった. 術中に胆管損傷に気付かなかった症例は 23例で, 症状としては黄疸が最も多く, 半数が2日以内に症状が出現している. 再建術式としては総肝管・肝門部肝管空腸吻合術が 15例と最も多く, 胆管端端吻合術は2例であった. 術中胆管損傷の修復方法は, できるだけ生理的な胆管端端吻合術を行うことを第1選択とすべきである. また, 術中に気付かなかった場合でも, 可能であれば胆管端端吻合術を行うが, 炎症所見が強く, 損傷が広範囲で吻合に緊張がかかったり, 縫合不全や再狭窄をきたす可能性が高い場合には, 適切な胆管消化管吻合術を行うべきである.
  • 津川 浩一郎, 小西 孝司, 辻 政彦, 高田 理, 長田 拓哉, 二上 文夫, 山本 精一, 前田 基一, 藪下 和久, 黒田 吉隆, 出 ...
    1994 年 8 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    過去18年間に当科で経験した胆嚢癌症例は102例で, うち90例に切除が行われ,そのうち肝膵同時切除が施行された21例について検討した. 術式は, 肝床切除+膵頭十二指腸切除 (以下PD) 13例, 肝 S4の下部および S5切除+PD 5例, 2区域以上の肝切除 +PD2例, 拡大肝右葉切除+膵全摘1例であった. また, 全例 StageIV の高度進行例であった. 癌深達度 si 8例全例に, 膵頭十二指腸領域に直接浸潤を認めた. 大血管への浸潤を 57%に認め, 門脈浸潤 8例中 3例に合併切除および再建が, 右肝動脈浸潤 9例中 7例に合併切除が行われた. リンパ節部位別転移頻度を検討すると, 1群12b2で57%, 2群13aで67%と高い転移率を示し, PDによるリンパ節郭清の重要性が示唆された. 治癒切除率は28.6%で, 非治癒因子としては, n4 リンパ節転移陽性, ew(+)などが多かった. 予後は不良で, 全例が2年未満で死亡した. しかし, 相対非治癒切除以上の症例は絶対非治癒切除症例に比べ, 有意に予後良好であった.
  • 佐藤 正弘, 吉田 光弘, 前谷 容, 小川 聡, 大橋 茂樹, 安斎 保, 星 一, 吉岡 秀樹, 五十嵐 良典, 酒井 義浩, 渡辺 英 ...
    1994 年 8 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は, 47歳男性. 近医にて胆嚢ポリープを指摘され, 入院した. 腹部超音波, ERCP にて, 胆嚢底部に直径 20mmの乳頭状の亜有茎性隆起性病変が認められた. 腹部CT検査では明らかな腫瘍の浸潤や転移像は認められず, 腹部血管造影でも胆嚢底部に濃染像が示されただけで, 明らかなencasementはなかった. 早期胆嚢癌を否定しえないため, 胆摘術を施行した. 摘除標本では, 病変は乳頭状に発育した黄色調の亜有茎性隆起性病変であり, 胆嚢底部に存在していた. 実体顕微鏡観察では, 腺開口部が少なくポリープ表面は平滑であった. 組織学的には, 1層の固有上皮に覆われた豊富な幼若線維組織を主とする, 線維性ポリープであった. 一般には, 腫瘍性病変は褐色調で, その表面は顆粒状もしくは乳頭状を呈するとされている. したがって, 本病変と腫瘍性病変の鑑別点は色調と表面微細性状であり, これらを臨床的に捉えるためには, 胆嚢鏡をすべきと考えられた.
  • 宇山 一朗, 飯田 修平, 高原 哲也, 菊池 嘉一郎, 加藤 悠太郎, 荻原 裕之
    1994 年 8 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    Calot三角の炎症が高度の胆嚢頸部結石嵌頓症例に対し, 胆嚢床の腹壁吊り上げ固定による, 腹腔鏡下順行性胆嚢摘出術を施行した. 症例は, 44歳の男性で, 平成5年4月5日に右季肋部痛を主訴に来院し, 腹部超音波で頸部結石嵌頓による胆嚢炎の診断で入院した. 入院時現症としては, 発熱(37.7℃) と右季肋部痛を認めたが, 腹膜刺激症状や黄疸は認めなかった. 検査所見では, 白血球数増加(10,200/mm3)の他には異常所見を認めなかった. 経静脈胆嚢胆管造影では, 胆嚢および胆嚢管は造影されなかった. 入院後23日間保存的治療を行い, 腹腔鏡下手術を施行した. 胆嚢壁肥厚およびCalot三角の炎症を認めたため, 胆嚢管・胆嚢動脈の剥離が困難と判断した. そこで, 胆嚢床側胆嚢漿膜を横隔膜壁側腹膜に吊り上げ縫合し, 肝右葉を頭側に翻転挙上し, 術野を確保した. 続いて順行性に胆嚢を摘出し得た. 術後経過は良好で, 術後11日目に退院した.
  • 比嘉 聡, 松本 光之, 本馬 周淳, 徳嶺 章夫, 奥島 憲彦, 宮国 孝男, 中村 宏樹, 草野 敏臣, 武藤 良弘
    1994 年 8 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は44歳の男性で, US, CT にて閉塞性黄疸と診断され, 当科入院. 入院時のERC像では左右肝管合流部に狭窄像を認め, 注腸造影検査, 大腸内視鏡検査では, 下行結腸癌が存在していたので, 肝門部胆管癌と結腸癌の同時性重複癌と診断し, 平成5年4月20日手術を施行した. 術中所見では, 結腸癌からの連続性浸潤が, 結腸間膜から肝十二指腸問膜, さらには肝門部へと連珠状, 索状の硬結として認められた. 結腸癌は低分化腺癌であり, 以上の所見を総合して, 原発性びまん浸潤型大腸癌の直接浸潤により, 肝門部胆管癌に類似した所見を呈した極めて稀な症例と考え, 報告した.
  • 上原 伸一, 末永 昌宏, 岡田 喜克, 杉浦 勇人, 森紀 久朗
    1994 年 8 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    患者は78歳の女性で, 軽度の肝機能障害と carbohydrate antigen 19-9 (CA19-9; 119U/ml) の上昇にて来院. 腹部超音波検査にて肝右葉後区域胆管枝の拡張と, その中に腫瘤を認めた. PTCD (Percutaneous Transhepatic Cholangio-Drainage) tubeより胆管造影を施行したところ, 後区域胆管枝は左右肝管と交通することなく総胆管へ合流していた. 胆管の走行の変異である aberrant posterior segment ductに発生した胆管癌と診断し, 肝右葉後区域切除を施行した.
  • 一瀬 雅典, 菊池 俊之, 原田 昇, 神津 照雄, 浅野 武秀, 磯野 可一
    1994 年 8 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は24歳, 女性. 先天性腹道拡張症にて胆嚢・総腹管・左右肝管切除, 肝管空腸吻合術を施行されたが, 術後9カ月にて遺残肝内胆管の肝内結石症を惹起し, 入院となった. 治療として経皮経肝胆道鏡(PTCS)切石術を施行し, 食物繊維と思われる索状物を核とした結石を完全除去し得た. 本症例では肝管空腸吻合部には強い狭窄は認めないものの, 肝内の拡張胆管に比して相対的にくびれた形となっており,胆汁の欝滞や逆流が結石形成の原因と考えられた. 一方PTCSによる切石中に, 肝内に遺残した嚢腫状拡張胆管内を横断する粘膜に覆われた索状架橋構造物を認めた. こうした構造についての本邦報告例は調べ得た限り本例を含めて2例のみと極めて稀であり, 興味ある所見と思われた. またその内部には血管が走行しているものと考えられ, 安易な内視鏡的切除は危険と考えられた.
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