胆道
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閉塞性黄疸肝切除における ICG Bmax測定の意義
井沢 邦英佐々木 誠富岡 勉兼松 隆之
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1994 年 8 巻 3 号 p. 197-203

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抄録

従来, 肝門部癌浸潤による左右肝管分離例閉塞性黄疸において, 減黄後に肝切除する場合, 肝胆道機能分肝予備能を正確に判定する有用な検査法がなかった. そこで, ICG負荷後の胆汁中ICG最高濃度とその時間の比, すなわち ICG Bmax が肝切除可能決定に有用であるかについて検討すると共に, 他の検査値とも比較した. 肝門部閉塞のため, 左右いずれかの肝葉への減黄後, 外側区域以上の肝切除をおこなった13例を対象とした. 残存肝 Bmax がマイナスを示した3例では, 2例が肝不全で死亡し, 1例は術後合併症を併発した. 合併症を併発した7例は, すべて Bmax 値が 0.5以下で, 0から0.5の間の術後合併症発生率は57%であった. ICG Bmax と ICG R15, 総ビリルビンとは軽度の相関があるも, 解離例が多数認められた. 肝門部癌浸潤による閉塞性黄疸減黄後の残存肝葉 ICGBmax が0.5以下では, 合併症発生の可能性が高く, マイナス値を示す場合は区域切除以上の肝切除は禁忌である.

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