細胞内小器官の統合・配列に重要な役割を果たしている細胞骨格の一種である中間径フィラメント(サイトケラチン)を用いて, 閉塞性黄疸例の減黄術前後の変化を検討し, 減黄術時点での減黄効果の予測の可能性について考察した.
17例の閉塞性黄疸症例に対し, 減黄術前後に肝生検を行い, モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学により, 肝サイトケラチンの減黄による変化を微細構造との対比で検討した.
黄疸遷廷例や減黄不良例では, 肝サイトケラチンの変化は減黄術前後とも著しかった.減黄良好例では, その変化は軽度であり, 減黄術により改善した.サイトケラチンの変化は, 細胞内小器官の変化を光顕レベルで反映するものと思われた.
肝サイトケラチンの細胞内・小葉内分布の観察により, 光顕レベルで細胞内小器官の変化を推測し, 減黄術時点での減黄効果の予測の可能性が示唆された.