胆道
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Flow cytometryによる下部胆管癌のDNA ploidy pattern に関する研究
病理組織学的諸因子ならびに予後との関連について
戸田 博之
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1994 年 8 巻 3 号 p. 238-246

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抄録

下部胆管癌について, 核DNA量がその生物学的悪性度を反映し, 予後規定因子の1つとなりうるかを明らかにする目的で, Flow cytometryを用いて下部胆管癌54例の核DNA量を測定し, 病理組織学的諸因子ならびに予後との関連について検討を行い, 以下の結論を得た.1)膵臓浸潤, リンパ管浸潤, 神経(周囲)浸潤, 十二指腸浸潤, リンパ節転移において, 有意差は認めないものの, diploid に比し aneuploid に, これらの因子の陽性例が多い傾向がみられた. 2) 5年生存率では aneuploid は diploid に対し有意 (p<0.01) に予後不良であった. 3) Cox の比例ハザード法を用いた解析では, DNA ploidy pattern は, 因子独自では予後に影響を与えなかった. 4)術後5年以上の長期生存13例中, 11例がdiploid, 2例がaneuploidであった.
以上より, 下部胆管癌の核DNA量は下部胆管癌の生物学的悪性度を反映し, 予後規定因子の1つとなりうることが示唆された.

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© 日本胆道学会
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