胆道
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黒色胆石の結晶学的ならびに化学分析からみた特徴
島田 裕
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1994 年 8 巻 3 号 p. 247-255

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抄録

黒色石107例に, 粉末X線回折法による結晶分析を行った. 炭酸カルシウムを含有するものでは, 同質多像形であるcalcite, aragonite, vateriteの3結晶型が単独, もしくは共存して認められた. 黒色石は含有無機カルシウム塩別に, 炭酸カルシウム(C)群, 炭酸カルシウム+リン酸カルシウム(CP)群, リン酸カルシウム(P)群, 無機カルシウム塩非含有(N)群の4群に分類できた. これをもとに, 95例の金属元素成分を定量し, 比較した. カルシウム, リンは, この分類を反映して各群間に有意差が認められた. Cu, Fe, ZnはP群またはN群に高い傾向があり, Mg, MnはCP群とP群で有意に高かった. これは金属元素群の存在意義の違いと考えられ, 特に後者ではリン酸カルシウムとの関連が示唆された. X線回折上, 低角度域にビリルビンカルシウム石の主たる結晶成分と類似した回折をみることがあり, 黒色色素との関連で注目された.

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