胆道
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閉塞性黄疸を伴った粘液産生胆管腺腫の1例
横井 健二川上 和之川浦 幸光
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キーワード: 胆管腺腫, 粘液産生腫瘍
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1994 年 8 巻 3 号 p. 283-286

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抄録

左肝内胆管内に発生した, 粘液産生胆管腺腫の1切除例を経験したので報告する. 症例は82歳男性, 主訴は全身倦怠感, 黄疸. 血液生化学検査では, 肝胆道系酵素の上昇を認めた. 腹部超音波検査, 腹部 CT検査では, 左肝内胆管の拡張を認めたが, 腫瘤は描出し得なかった. ERCPでは, 総胆管内に鋳型様の辺縁明瞭な陰影欠損を認め, また左肝内胆管は造影されなかった. 左胆管腫瘍と判断し, 肝左葉および胆嚢切除術を施行した. 切除標本では, 左肝内胆管の第一分岐部に胆管壁の限局性隆起を認めた. 総胆管内には多量の粘液を認め, ERCPでの総胆管内の陰影欠損を示唆する所見と考えられた. 病理組織検査では, 胆管壁の限局性隆起は, 0.7×0.5×0.5cm大の胆管内に乳頭状に管腔を形成する乳頭腺腫であった. 以上より, 本症例は左肝内胆管に生じた腺腫に産生された粘液が原因で, 閉塞性黄疸を来たしたものと思われた.

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