2008 年 2008 巻 11 号 p. 163
医薬品のリスクマネジメントにおいては、製薬企業、行政、医療従事者など医薬品に係わるあらゆる者の英知を有効活用していくことが重要である。製薬企業と言うと、臨床開発部門や安全性管理部門が、まず頭に浮かぶことであろうが、決して、これらの部門のみではない。臨床で認められた副作用の回避方法のヒントが、毒性試験や安全性薬理試験から認められることも少なくない。製薬企業には、豊富な知識を有するトキシコロジストをはじめとした非臨床担当者が在籍しているにもかかわらず、臨床での発現した副作用の検討などには係わる機会は少ないという声も耳にする。これでは宝の持ち腐れである。特に、安全性については、多角的な視野から検討を行うことが重要であり、臨床担当者のみならず、非臨床担当者の知識も有効活用されるべきである。