2014 年 2014 巻 16 号 p. 11-17
公益財団法人先端医療振興財団(以下、先端財団)は、先端医療を実施する病院に加えて臨床試験のデータセンター機能を有し、臨床試験の実施及び支援業務を精力的に行っている。特に、先端医療分野におけるアカデミア発臨床シーズの橋渡し研究を推進している。その対象は多岐にわたるが、特に再生・細胞治療の領域における橋渡し研究に力を入れており、再生・細胞治療分野の実用化拠点を目指している。
筆者は、先端財団において、文部科学省の「橋渡し研究支援推進プログラム」からスタートして、過去数年間、いくつかの再生医療案件の開発業務に取り組んできた。具体的には、軟骨再生の医師主導治験、角膜再生の臨床研究(先進医療B)のそれぞれに関する試験物の製造・品質管理及び申請業務を行った。また、それと並行して、網膜再生に関して、iPS(induced pluripotent stem)細胞由来網膜色素上皮細胞の造腫瘍性試験とその報告書作成等を行った。
現在までの現場の責任者としての業務経験から、細胞の品質・安全性評価に関して、また規制上の問題に関して、いくつかの問題と課題を感じてきた。 それらについて以下に簡単にまとめてみる。専門外の方々の参考になれば幸いである。なお本稿は解説を目的としたものではないため、詳細を省略して簡略化していることをお断りしておきたい。