谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
レクチャー1 皮膚毒性
1-4 臨床における重症薬疹とゲノムマーカー
岡本(内田) 好海児玉 進中村 亮介斎藤 嘉朗
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2015 年 2015 巻 17 号 p. 18-23

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抄録

 医薬品の副作用は、大きく2種類に分類できる。タイプAの副作用は、薬理作用と関連のある用量依存性の反応で、動物実験でも再現可能な事例が多く、予測やコントロールが容易である。糖尿病薬による低血糖など、医薬品の高濃度曝露に基づくものが多く、用量の調節で回避可能である。一方、タイプBの副作用は、本来の薬理作用と関連せず、動物実験で再現できないものが多く、アナフィラキシーなど特異体質性で発症予測が難しい副作用である。発症機構が不明なため、長らく一定の割合で発症しても致し方ないと考えられてきた。しかし、ゲノム薬理学の発展により、その一部ではあるが、発症と関連するゲノムマーカーが同定され、さらにその機序も明らかになるなど、発症回避が可能な事例も出てきた。本項では、ゲノムマーカーとの関連性について最も研究が進んでいる重症薬疹に関し、最近の知見を中心に述べる。なお、カルバマゼピン、アロプリノールを中心とする2012年頃までの知見は、既に本毒性質問箱で詳細にまとめており、ご参照頂きたい1)

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© 2015 安全性評価研究会
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