2016 年 2016 巻 18 号 p. 80-82
医薬品安全性試験コンサルタントの牧です。私が現在行っています医薬品の安全性試験のコンサルティングは、受託試験施設であります(財)食品農医薬品安全性評価センターのセンター長を退任しました後に始めたもので、7年が経過しています。私が現在専門分野としています免疫毒性とアレルギーは、大学時代に配属されました研究室のテーマが現在に至っています。長い人生の途中、いくらでも宗旨替えをする機会はあった筈です。しかし、幸運にも、大学院を卒業後、最初に入社しました製薬会社の主要開発医薬品がステロイド剤や非ステロイド性抗炎症剤であり、その開発に携わることになり、私の力量を発揮する場所がそこに準備されていたわけです。その様に環境にも恵まれ、益々免疫学の分野・研究に興味が湧き、自分自身の博士論文の研究テーマも「抗ラット肺ウサギ血清によるラット過敏性肺臓炎モデルの開発」を選び、時間の掛かる研究を行ったものです。ヒトにおける過敏性肺臓炎は、当時もそうですが今も治療薬として唯一効果を示す薬物はステロイド剤で、他に有効な薬物がないことから、治療薬開発のためにも病態モデルの作製が必要と考え、ヒトの病態に類似したモデル動物の作製に努力し、多くの被験薬物を調べました。しかし、弱いながら効果を示す薬物はあるものの、治療薬としてステロイド剤に勝るものを見つけることはできませんでした。