抄録
薬物性肝障害(drug-induced liver injury: DILI)は新薬開発における臨床試験の中止、もしくは市販後の市場撤退の主要な原因であり、予測性の高い評価系が求められている。薬物性肝障害の評価としては、動物試験が一般的に用いられているものの、必ずしもヒトでの作用を示していないことが知られている。そのため、ヒトの細胞を用いた評価モデルの構築が求められているが、生体内の複雑な構造・機能を再現することは困難であった。
Organovo Holdings, Inc.(以下、Organovo社)が開発したExViveTMヒト3D肝臓組織は、複数種類の細胞で構成された三次元組織モデルである。独自のバイオプリンティング技術を用いることで生体内に類似した構造、及び機能的特徴を再現することを可能にした。
本項では、Organovo社のExViveTMヒト3D肝臓組織の構造・機能的な特徴、及び薬物性肝障害を誘発することが知られている代表的な薬剤での評価例について紹介する。