谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
眼科検査_毒性質問箱
「医薬品開発毒性研究者と眼科専門家のクロストーク」Q&A
小野寺 博志友廣 雅之大竹 誠司谷本 憲昭佐々木 正治細井 一弘有江 裕子甲田 章鈴木 慶幸宮下 泰志児玉 晃孝
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2020 年 2020 巻 22 号 p. 104-108

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抄録

 医薬品の副作用として失明など眼に関する重篤な毒性が発現すると、患者のquality of lifeが大きく損なわれるとともに、市場からの撤退、あるいは医薬品開発の中止に至る可能性が高いため、非臨床毒性試験における眼毒性評価は重要である。安全性評価研究会でもこれまでに眼毒性について継続した議論を行ってきた1)。眼科学的評価に関しては、通常、反復投与毒性試験において、肉眼的及び検眼鏡を用いた検査、網膜電図(electroretinography: ERG)などの視覚機能を評価する検査及び病理組織学的検査が基本的な項目としてガイドラインに規定されており2)、それらの検査で眼毒性が懸念される場合は別途適切な試験系を選択し精査が必要である。反復投与毒性試験以外の毒性ガイドラインでは眼毒性評価に関する記載は少なく、眼毒性評価の位置づけが明瞭になっていない。さらに、通常実施される一般的な非臨床毒性試験では全身のあらゆる臓器の毒性を多岐にわたり評価することから、眼科学的な試験法や所見について毒性学的評価法、判断基準に精通している毒性専門家は少ない。2019年7月に開催された第39回比較眼科学会年次大会の基礎部会セッションにおいて、比較眼科学会と安全性評価研究会の共同企画として、毒性研究者が抱いている眼毒性に関する疑問について、眼科専門家のパネリストとフロアが議論し、医薬品開発における眼毒性への考え方や試験デザイン及び評価まで幅広く理解を深める機会をもった。本稿では、同セッションで議論された内容を中心にQ&A形式で紹介する。

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© 2020 安全性評価研究会
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