2022 年 2022 巻 24 号 p. 80-87
2020年1月に日本国内で初の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が確認され、同年4月より最初の緊急事態宣言が発令された。コロナ禍と呼ばれる環境で発令されたこの宣言以降、社会における働き方が大きく変化し、急激な変化に適応しなければならない状況となっている。“New Normal”と言われるこの状況において、生活面では、密閉、密集、密接の3密を避けること、マスクやフェイスシールドの着用、不特定多数の人が触るものの消毒等が、感染防止対策として周知されてきた。一方、就業面では、職場への通勤時の感染リスク及び職場でのクラスター発生等を避けるために、テレワーク勤務の導入が進んだ。本邦における2020年1月~2022年2月の新規感染者数の推移 1)及び東京都におけるテレワーク導入率 2)を図1に示す。2020年3月からの新規感染者数の増加に伴って最初の緊急事態宣言が発令された。その後、新規感染者数の減少により一旦、緊急事態宣言は解除されたものの、第2波、第3波の感染の波とコロナ対策が繰り返され、2022年2月現在、オミクロン株を主とした感染者数の急増により「第6波」といわれる環境にある。東京都におけるテレワーク導入率においても、2020年3月時点では20%台であったが、翌月の4月に60%を超え、以降、50~65%の導入率で推移し、“New Normal”に対応するインフラ整備が急速に進んだことがわかる。しかしながら、オフィスで仕事をすることが比較的多い職種ではテレワークを有効に活用できるが、我々のフィールドである医薬品開発における安全性部門のように、現場で作業を行う必要がある職種ではここまでの活用は難しいであろう。