2023 年 2023 巻 25 号 p. 38-42
がん原性試験を製薬メーカーが自社施設で実施することは、背景値の収集、設備や人的リソースの確保、試験実施やその準備を含めたコストなどの点から、非常にハードルが高い。このことから、多くの製薬企業は、外部の試験受託施設(Contract Research Organization:CRO)にがん原性試験の実施を委託することになる。がん原性試験は、他の非臨床試験と異なり、当局と相談しながら試験を進めるなど、注意すべき点が多い。また、がん原性試験の実施には長い期間と高額な費用を要し、開発後期に計画されることが多いため、試験の不成立が当局への承認申請時期に与える影響は極めて大きい。本稿では、Global開発化合物のがん原性試験を適切に遂行・完了させるために、どのような点に注意すべきかについて、がん原性試験の流れに沿って紹介する。