谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
〈不純物・添加剤〉
2.医薬品不純物・添加剤の評価事例調査
棚治 隆史甲田 章原田 聡子松下 聡紀宅見 あすか
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2023 年 2023 巻 25 号 p. 70-75

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抄録

 医薬品開発における安全性評価の対象は有効成分(active pharmaceutical ingredient: API)に留まらず、原薬及び製剤中の不純物や製剤中の添加剤に及ぶ場合がある。不純物や添加剤の安全性評価にはAPI以上に工夫が必要な側面がある。例を挙げれば、調査や実施済みの毒性試験によって評価対象物質の安全性情報が得られる場合がある、CMC(chemistry, manufacturing and control)部門との連携次第で評価戦略が変化する、評価対象物質の毒性試験を実施する場合には被験物質確保の問題、さらにはAPI評価ほどの費用や期間を割くことが難しいことなど、検討事項が多岐にわたる。そこで、第30回夏の教育フォーラムでは、不純物・添加剤の安全性評価について、基本的な考え方と実践的な評価方法を学ぶことを目的として、不純物・添加剤を特集したセッションを企画した。講演として福地準一先生(医薬品医療機器総合機構、PMDA)に医薬品不純物を取り巻く国内外規制状況の概説をいただき、岡橋典子先生(株式会社住化分析センター)には医薬品不純物・添加剤等の安全性情報調査の方法と評価事例をご紹介いただいた(前稿参照)。また、ICH M7ガイドラインに準じた変異原性不純物評価の工程を黒岡貴生先生(キッセイ薬品工業株式会社)に解説いただき、不純物評価のスキームの理解に繋げた。

 また、著者らは、PMDAのウェブサイト上で公開されている既承認医薬品及び再生医療等製品の審査報告書及び申請資料概要を対象とした調査を行い、不純物・添加剤の安全性評価の現状を明らかにするとともに、特徴的な事例を抽出して実用的な情報として発表した。本稿ではその調査結果から抜粋した内容を紹介する。

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© 2023 安全性評価研究会
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