タウリンリサーチ
Online ISSN : 2434-0650
Print ISSN : 2189-6232
母体由来のタウリンが胎仔・新生仔の脳発達に与える影響
福田 敦夫
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2017 年 3 巻 1 号 p. 18-20

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抄録
母体から胎仔に経胎盤的に移行して胎仔脳の細胞外 環境に漂うタウリンが、胎仔神経細胞内にタウリント ランスポーターで取り込まれてリン酸化酵素 WNK1-SPAK/OSR1のカスケードを活性化し、その基質 である Cl-トランスポーター(KCC2/NKCC1)をリン酸化し て機能を調節する。その結果、脳におけるもっとも重要 な抑制性伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)の、 胎生期における特異的な作用を規定する胎仔型の Clホメオスタシスを維持する。また、タウリンによる胎 仔・新生仔脳の持続的なGABAA受容体刺激作用は、 新たに発生した神経細胞の移動や GABA 神経伝達 の調節因子として働く。以上から、母体由来タウリン は、胎仔脳の細胞内外で機能し、その正常な発達に必 須の液性因子である。すなわち、経胎盤的母子間情報 伝達因子として、タウリンが極めて重要な役割を持つこ とを示唆している。
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© 2017 国際タウリン研究会

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