2017 年 3 巻 1 号 p. 51-53
タウリン投与は、ラットにおける長時間運動による血糖低下を抑制し、疲労困憊に至るまでの運動時間を延長させることが報告されている。またその作用機序として、肝臓における糖新生亢進の可能性が示唆されている。本研究では、長時間運動により生じる低血糖に対するタウリンの作用機序の一つとして、糖新生の関与を明らかにする目的で、タウリン投与後のラットにピルビン酸負荷試験を行った。ピルビン酸負荷直後に上昇する血糖値は、非投与群で、 負荷 30 分後に減少を始め初期値に復する傾向を示 すのに対し、タウリン投与群では、120 分まで減少 せずに維持された。本研究により、タウリンの血糖値低下抑制の機序として、上昇した血糖値を元に戻すフィードバック機序を抑制する作用、あるいは、インスリン非依存的な糖新生を亢進させる作用が関 与している可能性が示唆された。