抄録
タウリンは腸管上皮モデル Caco-2 細胞においてレドックス制御に関与する TXNIP の発現を転写レベルで亢進し、その亢進には転写因子 Ets-1 が関与していることを報告してきた。本研究では、タウリンによる Ets-1 を介した TXNIP 発現亢進に関与する新たなシグナル分子として、MAP キナーゼを中心に解析を進めた。その結果、MAP キナーゼの一種である ERK 経路阻害剤によってタウリンによるTXNIP の mRNA 発現亢進が有意に抑制され、さらに ERK 経路阻害剤はタウリンによる TXNIP 転写活性亢進も有意に抑制した。実際にタウリン添加によって、ERK の活性化(リン酸化)が確認された。以上より、タウリンは ERK-Ets-1 経路を介して、TXNIP の転写・発現を亢進することが示唆された。