待遇コミュニケーション研究
Online ISSN : 2434-4680
Print ISSN : 1348-8481
研究論文
配慮言語行動としての言語的・非言語的あいづち
命題提示の完結性と異なるあいづち形式使用の関わり
小林 かおり
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2025 年 22 巻 p. 17-32

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抄録

日本語会話で見られるあいづちは聞き手行動の一つであり、その表現には様々な形式がある。特に「うん」、「はい」といった言語的あいづちと、頷きによる非言語的あいづちが頻出し、話し手の話を理解していること、聞いていることを表示する機能があるという(小宮1986等)。また、言語的・非言語的あいづち使用を会話参与者間の親疎関係という社会的要因との関わりから分析すると、親の関係では非言語的あいづちよりも言語的あいづちの方が多く使われるのに対し、疎の関係では言語的あいづちよりも非言語的あいづちの方が頻出することが示されている (Miyazaki, 2007) 。しかし、親疎関係にある話し手に対し、それぞれの聞き手がどのような状況において言語的・非言語的あいづちを区別するのかは未だ明らかではない。

本稿では聞き手が親疎の関係にある話し手に対し、言語的・非言語的あいづちをどのように使用するのかについて、話し手の命題提示の完結性、つまり命題内容の提示が完結しているか否かという点に着目して分析した。その結果、聞き手は親の関係にある話し手に対し、非言語的あいづちよりも言語的あいづちを頻繁に送り、話し手による命題提示が完了しているか否かに関わらず言語的あいづちを用いる傾向があった。そうすることで聞き手は、話し手の命題提示という行動の流れを話し手と共同で作っていると考えられる。一方、疎の関係にある話し手に対し聞き手は、言語的あいづちよりも非言語的あいづちを多用し、話し手による命題提示が完結している時点では言語的あいづち、命題提示が未完結の時点では非言語的あいづちを使用する傾向があった。聞き手は異なるあいづち形式を選択し、命題内容に対する理解、または会話への積極的な参加を示していると考えられる。このように、親疎関係に応じて異なる言語的・非言語的あいづち選択は、聞き手が話し手への配慮を示す配慮言語行動の一つだと言える。

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