待遇コミュニケーション研究
Online ISSN : 2434-4680
Print ISSN : 1348-8481
研究論文
介護場面における介護従事者の言葉遣いに対する評価の比較
言語・年代・話題・スピーチスタイルによる違いに焦点を当てて
辛 昭靜石崎 雅人
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2025 年 22 巻 p. 33-49

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抄録

本論文では、場面想定法を用いて、高齢者への介護従事者の言葉遣いについて日本人と韓国人の認識を比較した。調査は、日本人600人、韓国人571人を対象に行った。調査対象者には、介護従事者と高齢者の会話を提示し、SD法により評価してもらった。会話は、話題2種類と言葉遣い2種類を組み合わせて計4場面とした。話題は、介護に直接関係する「食事」と直接関係しない「天気」、言葉遣いは、普通体と丁寧体から成っている。

結果は、次のようにまとめられる。(1)日本語では、年代による評価の差は見られなかった。介護に直接関係しない話題に対して、普通体と丁寧体の使用に対する評価の差は見られなかったが、直接関係する場合、丁寧体を普通体より高く評価していた。(2) 韓国語では、年代・話題に関わらず、丁寧体を普通体より高く評価していた。介護に関係する話題の場合、年代によって丁寧体の評価が異なっていた。評価の高さは年代により異なっていた。(3)日本語と韓国語の比較では、話題・年代にかかわらず、普通体に対しては、日本人が韓国人より高く評価していた。丁寧体は、介護に直接関係する話題の場合、20-30代と70代では日本語と韓国語の評価の差はみられなかったが、40代では韓国人が日本人より高く評価していた。

これらの結果から、介護従事者の高齢者への言葉遣いについて、日本語では、介護に関係しない話題の場合、普通体が丁寧体と同様に高く評価されていることから、普通体をいつ使えばよいかを考えなければならない。韓国語では、介護に関係する話題の場合、年代により丁寧体の評価が異なることから、丁寧体の使用に関する細やかな配慮が必要となる。

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