日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
SOS/TA-TMAの診断と治療
池添 隆之
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2021 年 10 巻 4 号 p. 136-144

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抄録

 肝類洞閉塞症候群(sinusoidal obstruction syndrome,SOS)と移植関連血栓性微小血管症(transplantation associated-thrombotic microangiopathy,TA-TMA)はともに後天性の血栓性疾患で,前者は類洞内皮細胞障害が,後者は血管内皮細胞障害がその発症に深く関与していると考えられている。わが国においても2019年から,ブタの小腸粘膜DNAから作られたオリゴヌクレオチドの混合物デフィブロチド(defibrotide,DF)がSOSに対して使用可能となった。DFの作用機序は未だ全容が明らかになったとは言えないが,内皮保護作用,抗凝固作用や線溶促進作用を介してSOSに効果を発揮すると考えられている。TA-TMAには未だ有効な治療法は確立されていない。しかし近年の研究から補体の活性化が病態に関与している可能性が示され,診断マーカーや治療標的分子として注目を集めている。

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© 2021 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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