日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
造血器腫瘍に対する臍帯血移植の移植前処置
小沼 貴晶
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2021 年 10 巻 4 号 p. 145-152

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抄録

 初期に臍帯血移植の最大の問題とされていた生着不全や早期死亡が多い点は,近年では改善されつつあるが,その要因の一つとして移植前処置の改良もあげられる。若年者では全身放射線照射を含む骨髄破壊的前処置が頻用されているが,ブスルファンの静注製剤を含む骨髄破壊的前処置においても,薬剤や低用量全身放射線照射を追加することにより,高齢者などでも安全かつ生着率や生存率の改善が期待できる。また,大量シタラビンの上乗せ効果としての強化前処置は,臍帯血移植でのみ生着率の向上や生存率の改善が認められる。現在,抗がん剤の増量を伴わずに治療強度をあげる効果が期待できるgranulocyte colony-stimulating factor(G-CSF)プライミング効果を利用した移植前処置の有効性を,臨床第Ⅲ相試験で検証中である。

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© 2021 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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