日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
CAR-T療法開発;その最新の世界情勢
藤原 弘
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キーワード: CAR-T, CD19, off-the-shelf, solid cancers
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2022 年 11 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

 がん治療における近年の重要な進展は,従来の治療法に抵抗性を示すがんに対する免疫療法の成功である。治療抵抗性B細胞性血液がんに劇的に奏功したCD19特異的キメラ型抗原受容体遺伝子導入T細胞(CD19 CAR-T)がチェックポイント阻害剤と並んでそれを牽引している。一方で,CD19 CAR-Tはサイトカイン放出症候群や中枢神経障害,治療後再発を喫緊の解決課題として抱えている。こうした中,世界のCAR-T開発は,CD19 CAR-Tの有効性向上と,固形がんへの適応拡大を目指している。これまで,その努力はCAR遺伝子の改良が中心であったが,現在は,CAR遺伝子を導入する細胞側にも目が向けられ,off-the-shelf化を目指す技術開発に繋がっている。本稿では,こうした,世界のCAR-T開発の現状を概観する。

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© 2022 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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