2022 年 11 巻 1 号 p. 36-42
再生不良性貧血に対する同種移植の前処置では,拒絶を防ぎ,さらに十分な移植片対宿主病(GVHD)予防を行うことが重要である。そこで高用量シクロホスファミド(CY)と抗胸腺細胞抗体(ATG)を組み合わせた移植前処置が開発された。しかし高用量CYによる心毒性が問題で,免疫抑制効果が強いが臓器毒性の少ないリン酸フルダラビン(Flu)を加えてCYを減量する前処置が考案された。関東造血幹細胞移植共同研究グループ(KSGCT)では日本人における再生不良性貧血の至適移植前処置を検討するため,Fluと減量CY,低用量サイモグロブリンを前処置に用いた前向き試験を行い,1年生存率96.3%という成績を報告している。ただしFlu使用は2次性生着不全のリスクとなる可能性がある。近年は臍帯血やハプロアイデンティカルドナーからの移植も前処置の工夫で良好な成績が得られるようになってきている。さらに今後アレムツズマブが再生不良性貧血移植前処置の有望な薬剤となってくるかもしれない。