日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
骨髄異形成症候群と造血細胞移植
志関 雅幸
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2022 年 11 巻 1 号 p. 43-52

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抄録

 難治性疾患である骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes,MDS)において,同種造血幹細胞移植は治癒を望める唯一の治療法である。MDSは高齢者に多い不均一な疾患群であり,同種造血幹細胞移植を考慮する際には,多角的視点からの十分な検討が必要である。移植前治療は,移植成績改善をもたらすが,対象症例,治療法選択,治療期間などに課題がある。患者年齢,併存疾患はドナーや移植前処置法の選択に影響を及ぼす。移植後再発への対応も,大きな課題として残っている。血液学的再発後の治療成績は不良であり,標準化された手法で測定されるminimal residual disease(MRD)の陽性化を指標とした早期先制治療,あるいは再発リスクの高い症例における再発予防治療の確立が重要である。さらなる治療成績向上のためには,新規治療法開発を含めた移植技術の進歩が必要である。

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© 2022 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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