日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
分子標的薬時代の移植後GVHD
森 康雄
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2022 年 11 巻 1 号 p. 53-63

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抄録

 近年,分子標的薬や新規の抗体製剤・抗体薬剤複合体,免疫細胞療法などが次々と臨床現場に登場し,同種造血細胞移植前後に使用可能な状況が整いつつある。これらの新規治療法を用いて移植前の原疾患コントロールを一層強化し,可能な症例においては移植後に維持療法を継続することで,再発率の低減ひいては移植成績の向上が期待されている。さらに一部の分子標的薬は,依然として同種移植後の致死的合併症であるステロイド抵抗性の急性・慢性GVHDに対する2次治療薬としての役割も期待されている。一方で,新規薬剤のoff-target効果として重症GVHDが惹起されるリスクがあり,骨髄抑制や免疫抑制の結果としての感染症,支持療法に使用される薬剤との相互作用などと合わせて注意すべき点も多い。本稿では,移植前の新規薬剤使用がGVHDに与える影響とそのマネージメント,および新規薬剤を用いたGVHD予防・治療の動向を中心に解説する。

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© 2022 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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