2022 年 11 巻 2 号 p. 134-139
肝類洞閉塞症候群は造血幹細胞移植の予後不良な合併症の1つである。今回,速やかなdefibrotide(DF)治療が奏功した2症例を経験したので報告する。1症例目は急性リンパ性白血病の49歳女性。第一寛解期にbusulfanとcyclophosphamideによる前処置で2抗原不一致のドナーから臍帯血移植を施行。移植後27日に臓器障害と体重増加を認め肝類洞閉塞症候群と診断,28日よりDFを投与し54日に軽快。2症例目は成人T細胞白血病リンパ腫の67歳男性。第一寛解期にfludarabineとmelphalanによる前処置でHLA一致ドナーから非血縁者間末梢血造血幹細胞移植を施行。移植後8日に破砕赤血球と輸血不応性血小板減少を認め腹水と肝機能障害が続発し,24日に肝類洞閉塞症候群と診断,同日よりDFを投与し36日に軽快した。DF開始の適切な時期についてさらなる研究が望まれる。