日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
研究報告
サイモグロブリン®の安全性と有効性:7つの製造販売後調査からの検討
髙徳 正昭金森 里英田崎 智子
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2022 年 11 巻 2 号 p. 122-133

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抄録

 ヒト胸腺細胞で免疫したウサギ由来の抗ヒト胸腺細胞ポリクローナル抗体製剤であるサイモグロブリン®は,造血幹細胞移植の前治療,及び造血幹細胞移植後の急性GVHDの治療の効能・効果で本邦において承認された免疫抑制剤であり,中等症以上の再生不良性貧血,腎移植・肝移植・心移植・肺移植・膵移植・小腸移植後の急性拒絶反応でも承認されている。発売後,本剤適応患者を対象に,使用実態下における安全性及び有効性を把握することを目的に,使用成績調査ならびに特定使用成績調査を実施した。副作用の発現状況について特筆すべき事項はなかったことから,安全性に問題はないことが示された。有効性については,造血幹細胞移植後の急性GVHD及び造血幹細胞移植患者の前治療の調査における奏効率の影響因子の検討により複数の患者背景因子で有意差がみられ,全体として第Ⅱ相臨床試験及び国内臨床研究と一貫した結果が得られた。

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© 2022 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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