2022 年 11 巻 2 号 p. 81-89
血縁・非血縁の骨髄・末梢血幹細胞の代替ドナーとして導入された臍帯血移植(umbilical cord blood transplantation,UCBT)は,現在本邦では非血縁ドナーの過半数を占め,他ドナーと比べて同等の成績が報告されるに至った。他ドナーと比べて再発率は低いとされる一方,移植関連合併症に伴う死亡率は高く,UCBT成績向上の大きな障壁となっている。特に生着不全・遅延に伴う感染症や,PIR・急性GVHD等の同種免疫反応に伴う移植後早期の合併症の克服が喫緊の課題である。同種免疫反応は,再発率低下にも寄与するため,疾患リスクに応じた対処が必要である。