日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
研究報告
造血細胞移植後に肝類洞閉塞症候群を発症した小児に対するdefibrotideの使用経験
井上 恭兵荒川 ゆうき入倉 朋也渡壁 麻依平木 崇正本田 護三谷 友一森 麻希子福岡 講平大嶋 宏一福島 啓太郎市村 香代子田波 穣中澤 温子康 勝好
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2022 年 11 巻 3 号 p. 161-168

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抄録

 2019年にdefibrotide(DF)が肝類洞閉塞症候群(sinusoidal obstruction syndrome,SOS)に対する治療薬として本邦で承認されたが,小児の報告は少ない。今回,造血細胞移植を行った際にSOSを発症し,当院でDFを投与した症例の解析を後方視的に行った。症例は4例で疾患の内訳は骨髄異形成症候群(X-linked inhibitor of apoptosis protein,XIAP)欠損症,神経芽腫,急性リンパ性白血病各1例であった。発症直後に原病悪化のため死亡した白血病の1例を除き,3例ともにDF開始後に総ビリルビン値の低下を認めた。1例は多臓器不全のため死亡したが,2例は回復した。DFに関連する明らかな有害事象を認めず,投与早期の総ビリルビン値の低下が治療反応性の予測因子となる傾向があった。小児SOS症例に対するDFの使用経験に関する報告の更なる蓄積が望まれる。

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© 2022 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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