2023 年 12 巻 1 号 p. 48-58
キメラ抗原受容体発現T細胞(chimeric antigen receptor-T,CAR-T)は,細胞採取の段階から原材料製造の観点での厳格な管理を必要とする再生医療等製品である。輸注後の合併症マネジメントは本治療に特異的であるため,医療看護体制の新規構築が求められていた。本稿では,輸血部門看護師の立場から品質管理へ参加し,治療体制構築としての部門連携,手順作成,病棟サポート等の実践を報告する。長年培われた造血細胞移植の多職種協働のしくみを活用し,各職種が要求される役割を新たに創造・付加することで,迅速かつ効率的に治療体制構築に繋げることが可能であった。今後も,要求事項が微妙に異なる新規製剤が続々と臨床導入されるため,限られた資源,人材,コスト,時間を考慮し創意工夫する必要がある。新規治療の導入は未知の部分が多く,経験も少ない中での体制構築となるが,関わるすべての職種が,常に中心に患者が居るという視点を忘れてはならない。