造血幹細胞移植患者の移植治療期間中の持久力に影響を与える因子を分析した。対象は2015年9月から2021年10月に当院で同種造血幹細胞移植を受けた20歳以上の71名とした。退院時の持久力に影響を与える因子を検討するために6分間歩行距離を従属変数,基本情報(体重,入院期間,HCT-CI,移植治療情報),移植前の生理学的指標(心機能,肺機能),身体機能(倦怠感,握力,膝伸展筋力,30秒椅子立ち上がり回数)を独立変数とした重回帰分析を行った。結果,年齢と退院時の30秒椅子立ち上がり回数が低いことが退院時の持久力の低下に影響していることが明らかとなった。さらにパス解析の結果,全身放射線治療線量と肺拡散能も退院時の持久力の低下に間接的に影響することが示された。全身放射線治療線量と肺拡散能を情報収集として行うことと,若年齢でも移植治療期間中に下肢の筋力・持久力練習を実施する必要が示唆された。