日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
T細胞疲弊化と固形がんに対するCAR-T細胞療法の課題
倉光 俊一郎山口 純矢野平 翔太大野 真佐輔藤田 貢齋藤 竜太
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 13 巻 1 号 p. 33-41

詳細
抄録

 CD19を標的としたキメラ型抗原受容体(chimeric antigen receptor,CAR)-T細胞療法は血液がん領域において高率な抗腫瘍効果を示し,早くから固形がんへの適応拡大が期待されてきたが,以後目立った成果をあげられずに現在に至っている。固形がんにおける免疫抑制性がん微小環境におけるT細胞疲弊がCAR-T細胞療法を含む免疫療法の有効性を損なう主因の一つであり,そのメカニズム解明が目下の課題である。

 本稿ではT細胞受容体(T cell receptor,TCR)-T細胞,CAR-T細胞における既知の疲弊機序に加え,近年明らかとなったCAR-T細胞のNK様疲弊について述べ,それらの知見に基づく疲弊化克服への戦略について概説する。

Fullsize Image
著者関連情報
© 2024 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top