2024 年 13 巻 1 号 p. 33-41
CD19を標的としたキメラ型抗原受容体(chimeric antigen receptor,CAR)-T細胞療法は血液がん領域において高率な抗腫瘍効果を示し,早くから固形がんへの適応拡大が期待されてきたが,以後目立った成果をあげられずに現在に至っている。固形がんにおける免疫抑制性がん微小環境におけるT細胞疲弊がCAR-T細胞療法を含む免疫療法の有効性を損なう主因の一つであり,そのメカニズム解明が目下の課題である。
本稿ではT細胞受容体(T cell receptor,TCR)-T細胞,CAR-T細胞における既知の疲弊機序に加え,近年明らかとなったCAR-T細胞のNK様疲弊について述べ,それらの知見に基づく疲弊化克服への戦略について概説する。