2025 年 14 巻 4 号 p. 252-258
小児再生不良性貧血(AA)の造血細胞移植での標準的な前処置はフルダラビン/シクロフォスファミド/抗ヒト胸腺細胞グロブリン(FLU/CY/ATG)だが,近年小児不応性血球減少症(RCC)と同様にメルファラン(MEL)を用いたFLU/MEL/ATGの有効性が報告された。本研究では両レジメンで移植を行った症例を後方視的に解析した。AA 20例,RCC 6例が対象となり,FLU/CY/ATGがAA 18例,RCC 3例,FLU/MEL/ATGがAA 2例,RCC 3例だった。5年無イベント生存率はFLU/CY/ATG 84.9%,FLU/MEL/ATG 100%だった。一次生着不全はRCCで1例,二次生着不全はAAで1例で,どちらも前処置はFLU/CY/ATGだった。FLU/CY/ATGは実行可能である一方,FLU/MEL/ATGも少数例ながらも有効性が示唆され,晩期合併症等を含めた今後の症例の集積が必要である。