主催: 第60回天然有機化合物討論会実行委員会
会議名: 第60回天然有機化合物討論会
開催地: 久留米シティプラザ
開催日: 2018/09/26 - 2018/09/28
p. 175-180-
1.背景 (+)-アクアトリドは,1989年にSan Felicianoらにより,キク科植物Asteriscus aquaticusより単離されたセスキテルペノイドである1).当初,-ラクトン,ビシクロ[2.2.0]ヘキサン骨格,炭素7員環からなる四環性骨格を有する1aの構造が提唱されていた.しかし,2012年にShawおよびTantilloらがNMRスペクトルの量子化学計算によりその誤りに気づき,最終的には再単離されたサンプルのX線結晶構造解析により,ビシクロ[2.1.1]ヘキサン骨格および炭素8員環を有する1bに構造が訂正された2).その興味深い縮合環構造から本天然物は注目を集め,最近になり2つのグループによってラセミ体での全合成が報告された3).今回私たちは,当研究室にて開発されたシクロブテンの骨格変換を伴う開環/閉環メタセシス反応を鍵として4),短工程でより効率的な1bの全合成を達成したので詳細を報告する. 2.合成計画 標的化合物1bの逆合成解析をScheme 1に示す.1bは,類縁天然物である(—)-