主催: 第60回天然有機化合物討論会実行委員会
会議名: 第60回天然有機化合物討論会
開催地: 久留米シティプラザ
開催日: 2018/09/26 - 2018/09/28
p. 55-60-
カテプシンB阻害物質としてStreptomyces属海洋放線菌より単離された環状オクタペプチドsurugamides A-E (SA-SE) は、ふたつの非リボソーム型ペプチド合成酵素(NRPS) 、SurA/SurDによって生合成される1,2,3 (Fig 1)。さらに、これらNRPS遺伝子の間には、別の2つのNRPS、SurB/SurCをコードする遺伝子が挿入されており、SurB/SurCはSA-SEとは全く異なる直鎖状デカペプチドsurugamide F (SF) を生合成する2,3 (Fig 1)。NRPSは、複数ドメインからなる巨大多機能酵素であり、通常、タンパク質C末端に位置するTEドメインがペプチド鎖チオエステル中間体の放出および環化を担う。この他にC末端のCドメインやRドメインがチオエステル中間体の放出を担う例は知られているが4、SurA/SurD, SurB/SurCはいずれもC末端にこれらのドメイン欠いたTE-less NRPSであり、生合成中間体の環化放出機構は全く未知の状況である。そこで本研究では、surugamide類生合成における中間体ペプチド鎖のNRPSからの環化を伴った放出機構を明らかにすることを目的とした。 Fig. 1 Surugamide類の化学構造及び生合成遺伝子クラスター