2013 年 16 巻 2 号 p. 101-105
症例は1 歳9 か月の男児. 第8 病日に, 発熱, 眼球結膜充血, 発疹, 口唇の紅潮, BCG 接種部位の発赤が出現し, 6 項目中4項目を満たす不全型川崎病の診断で免疫グロブリン製剤2 g/kgが投与された. 翌日には解熱したが, Wenckebach 型Ⅱ度房室ブロックが出現した. 臥位から起き上がれず, 活気がないこともあり, 第11 病日に転院した. 転院後はアスピリン内服のみで経過観察した. 発熱を含めた4 項目の症状は軽快し, 冠動脈にも異常は認められなかった. Ⅱ度房室ブロックは第13病日には消失し, Ⅰ度房室ブロックも第16病日には消失した. 第16病日に座位可能となり, 第18病日には歩行可能な状態まで回復し, 第19 病日に退院した.
これまでにも川崎病にはさまざまな不整脈の合併が報告されてきた. 当院での15 年間の川崎病合併症としての不整脈の出現頻度は, 100人中5 人と, これまでの報告よりも少なかった. 一般的に川崎病に合併する不整脈の予後は良好であるが,経過中の不整脈の出現には注意が必要である.